伝統工芸材料における膠と接着－赤外スペクトルによるアプローチ

摘要

伝統工芸材料として重要な役割を果たしていた膠は，近代化にともなってゼラチン工業の傘下となり活用分野は広くなっている。しかし，その陰で日本国内では伝統的な生産体系は殆どなくなりつつあるなか，今回の機能性材料としての可能性を考慮したアプローチの意味は決して小さくない。今後，膠混合接着剤の接着試験や物性を調べながら，可逆性，防腐能についても実験を加え，伝統工芸材料や文化財の保存修復材料としての活用をも検討していきたい。