静電サイクロン方式DPFによる舶用ディーゼル機関の排気エミッション低減

摘要

このような背景の下，著者らは静電サイクロン方式DPF（以降，本DPFと記す）を開発し，一連の実験と高効率化を進めている．開発と高効率化の結果，高いPM捕集率を確認するとともに，燃料油に重質油（HFO）を用いた場合の排ガスでも，PM中のナノ粒子やSOP分も含めて，PM捕集率90%以上の高性能を達成している．これらの実験結果から，本DPFは，舶用ディーゼル機関の高効率なPM除去に適用可能であると判断している．さらには，本DPPによって排ガス中のPM低減が可能である点に着目し，スクラバの前処理としてDPFを活用することで，湿式スクラバ運用上の問題点の一つである，スクラバ排水汚染（濁度，油分，金属分等）の低減を目指した実験を行った．本稿では最初に，本DPFの構造とメカニズムについて説明し，次に実用化に向けた検討として小型化およびPM捕集率の向上に関して解説する．最後に，本DPF技術を使用した更なる環境改善へ貢献できる技術の開発として，本DPFとSO_xスクラバを用いた運用実験を紹介する．