人工心肺中のプロポフォール血中濃度 - 動脈血,内預静脈球部血,混合静脈血の比較検討-

摘要

常温人工心肺(CPB)下冠動脈バイパス術において,動脈血,内額静脈球部血,混合静脈血を同時採血してプロポフォール血中濃度(CA, C_J,Cv)を測定し,常温CPBが脳とそのほかの臓器でプロポフォールの薬物動態に及ぼす影響について検討した. CA, C_JはCPB開始5分後に有意に低下したのち,ただちに前傾に回復し,以後大きな変動を示さなかった.一方, CvはCPB前後で有意な変化なく,低値で推移した.それぞれの濃度差を動脈血-内額静脈球部血(△A-J),および動脈血一混合静脈血(△A-Ⅴ)に分けて検討すると, △A-Jが有意な変化を認めなかったのに対し, △A-ⅤはCPB開始後有意に増大した.常温CPB中は脳とほかの臓器でプロポフォールの薬物動態に相違があることが推察された.