濁水が心を洗う

摘要

「十年一昔」という。 一昔前，サッカー日本代表が初めてワールドカップの出場を決めた年，私は高校三年生だった。 当時，日本の食料自給率の低さや農村の衰退に対して人並みに危倶を抱くことはあったが，まさか10年後の自分が農業土木を専攻する研究者になるとは思っていなかった。 大学入学後，少しずつ農業土木に関する学問を履修し，さらに，大学院入院後，現場の課題解決に取り組む中で，自分なりのビジョンを形成してきたつもりでいた。 しかし，いざ『私のビジョン』を書き始めようとすると，何を提示していいのかわからない。私は，未だビジョンを明確にできていないことを自覚した。 そこで，本稿では，これまでの学生時代および短い研究者人生を振り返って，研究について思ったことを述べたい。