小特集広域的な防災、減災技術とリスク管理による災害に強い農村づくり

摘要

近年は，地震や集中豪雨による洪水土石流，地すベり，土壌侵食などの農村社会に被害をもたらす災害 頻発し，広 域的な災害リスク管理の必要性力な増している。今後のさらなる地球温暖化による気候変動は，これらの災害被害を増大さ せる懸念があり，これまで以上に広域的な視点での防災や減災の技術とリスク管理が求められる。農業農村工学は農村社会や住民の生活に密接した分野であり，広域的な災害リスク管理においても，災害の被災予測や ハザードマップ等の情報管理から，総合的な防災、減災技術や復旧支援など多様な面で重要な役割がある。さらに近年は獻す社会において，過疎，混住化などの住民構成の変化，ため池下流部や低平耕地への宅地の拡大など社 会構造の変化に伴い，農村地域特有の新たな防災課題も生まれている。また，減災に向けた農用地の総合治水利用など， 新たな取組みも見られはじめ，その際のハード面，ソフト面での課題も次第に明らかになってきている。集では，多様な災害に強いこれからの農村づくりのために，近年の新たな課題をふまえた広域防災および地域防災 に関する技術開発や取組みについて紹介する。