製品ファミリ·モデルの提案に基づく共通モジュールとオプション構造の設計手法

摘要

多様化する顧客要求に対してきめ細かく柔軟に対応するためには，多品種からなる製品群を，コスト競争力を維持しながら市場へ投入することが望まれる．この製品群は製品ファミリ（製品系列）と呼ばれるが，設計·開発や製造のコストは製品ファミリにおける製品の種類（バラエティ）に応じて増加してしまうことが懸念される．このために，製品の部分構造を適切に共通化し，設計·開発や製造にかかるコストを抑え，各製品を差別化する部分を個別に開発，製造し，製品の多様性を効果的に確保することが期待される．製品の共通部分をベースとし，多様性を有する製品群を市場へ投入することは「製品ファミリ展開」と呼ばれる．この展開における製品ファミリの設計·開発では，製品構造を複数の製品間で共通化すべき部分構造（共通モジュール）と，製品の差別化を担う部分（オプション）とに適切に切り分けることが重要となる．この切り分けられた製品構造は，製品ファミリ·アーキテクチャと呼ばれるが，このアーキテクチャは共通インタフェイスの仕様を決定してしまうため，組み合わせ可能なオプションの設計と製品種類の多様性に対して影響を及ぼす．したがって，製品ファミリにおける製品群を多様化し，その設計や製造の分業化を効率化し，利益を最大化することができる製品ファミリ·アーキテクチャを適切に設計することを支援する手法が求められる．