光伝搬数値シミュレーションを用いたカラー画像解析に基づく脳機能イメージング

摘要

脳梗塞等の脳血管疾患は寝たきりの生活になる病因の第一位であり，埠亡病因の中でも多くを占めている高頻度な疾患である．その上，後遺症を残しやすく介護が必要になることが多いため，福祉的観点からも大きな課題を伴う疾患である．脳梗塞の治療では，血管バイパス手術による血流供給の改善を図る場合があり，血管の切開や縫合の際に，一時的な血流遮断を行う必要がある．その間，部分的に脳組織への血流が遮断される．このような脳神経外科領域における血流の一時遮断は，予期せぬ出血のコントロールや病変部位の十分な剥離を行うために脳梗塞発症時以外にも脳動脈癌や脳動静脈奇形の手術の際に利用されている．しかし，脳は虚血侵襲に対し極めて脆弱であり，しばしば脳組織の不可逆な変化を来たす．そのため，血管バイパス手術中における一時的な血流遮断による脳虚血が脳に及ぼす影響や，脳組織の不可逆変化の予防について多くの研究がなされている．