ガスタービンを利用した新型発電システム：高湿分空気利用ガスタービン

摘要

近年，電力事業を取り巻く環境は大きく変化し，変化の激しい社会·経済状態においてよりフレキシブルに対応できる発電システムが求められている。 また，地球環境保護の観点からより一層の効率向上，NO{sub}x低減が期待されている。 これまでガズタービンの効率向上は主として燃焼温度の高温化と高圧力比化により達成され，それに伴い大容量化の道を進んできた。 一方でシステムを工夫することにより効率向上を目指そうという試みもあり，今回の特集に取り上げられた各種の新型発電システム等が提案されている。 高湿分空気を利用したガスタービン発電システムはそのひとつであり，実用化に近い技術と見なされている。 ガスタービンへの湿分注入は，再生サイクルと組み合わせるとコンバインドサイクルと同等以上の高効率が期待できるようになり，近年様々な高湿分空気利用発電システムが提案されている。 そこで本稿では，蒸気·水噴射技術も含めガスタービンへの湿分利用技術を概観し，次に高湿分空気を利用した高効率ガスタービン発電システムのうち，日本で発明されたHATサイクルとその発展型のアドバンストHATサイクルについて紹介する。