水稲直播栽培技術の進展：寒冷地向け低コスト乾田直播技術の開発－水管理技術で収量を安定化

摘要

水田農業の大改革が行われるなか，米に依存してきた東北地域は，米以外の収益性の高い作物（野菜，花きなど）や，品質の良い麦·大豆の生産への転換が求められている。 米が水田輪作の一作物となった現在，大面積で本格的な省力·低コスト化稲作を進めるためには，将来的には乾田直播に取り組むべきと考える。 東北地域の大豆は，その80％以上が転換畑で作付けされており，収量は150kg/10a以下，品質も全国レベルを下回っている。 収量·品質の低下の最大の要因は湿害であり，過度な代かきによる土壌の単粒化や機械の踏圧による排水性の低下が指摘されている。 乾田直播は代かきを行わないため，土壌の物理性·排水性·易耕性が改善されるため，水田輪作に適する技術である。 本稿では多湿黒ボク土での試験結果を紹介した。 2007年度には，灰色低地土を含む大豆後作などの復元田での漏水抑制技術を中心に検討する予定である。 乾田直播による輪作体系の確立を目指し，技術の普遍化のための研究を進めていきたい。