塩素系合成ゴムの熱分解における固体残渣中の塩素，硫黄，金属の残留状態

摘要

塩素系合成ゴム廃棄物の熱分解により得られる固体残渣を炭素材料へ転用することを目的として，クロロプレンゴム（以下，CR），ニトリルブタジエンゴムとポリ塩化ビニルのブレンド材（以下，NBR/PVC）に対してN{sub}2雰囲気，昇温速度5K/min，最高温度800℃での熱分解を行い，塩素，硫黄および金属の固体残壇への残留状態に関する実験的研究を行った。 その結果，以下の知見を得た。 （1）CRに含まれる塩素分の約90％はHClとして気相側に放出され，硫黄分は約60％が固体残渣中に残留した。 また，含有亜鉛は多くが塩化物に変換され，固体残渣より分離することで，残溶内に残留しないことが明らかとなった。 （2）NBR/PVCに含まれる塩素分の一部は共存するCaCO{sub}3により吸収され，固体残液中に残留することが明らかとなった。硫黄分は硫黄化合物ガスとして放出される一方，一部はCaSとして固体残渣中に残留した。