炭素繊維強化LCP／PP薄肉射出成形品の構造と機械的特性

摘要

液晶ポリマー（LCP）は，成形性に優れ，物性においても高剛性，高強度，高耐熱性，低線膨張係数，振動減衰特性に優れているため，コネクタやソケットなどの精密電子部品，携帯電話の内部アンテナ，イメージスキャナーヘッド，スピーカーコーン等様々な製品に適用されている．LCP成形品は，成形加工時のせん断力や伸張力によりポリマーが配向しやすく成形品は異方性を示すため，一般的には繊維状充填材を配合して，異方性を低減させている．充填された繊維が成形品構造や機械的特性に与える影響を明らかにするため，これまでに，炭素繊維強化LCP薄肉射出成形品の繊維配向，機械的特性に及ぼす枚厚，ゲート形状，射出成形速度の影響について検討した．成形品は板厚方向に繊維配向の異なる多層構造を形成するが，射出速度，板厚，ゲート形状によって層構造，繊維配向が大きく影響されることを確認しだ．さらに，積層理論，積層はり理論を用いた炭素繊維強化LCP薄肉射出成形板の剛性の予測手法を提案し，その有効性を明らかにした．