ポリスチレン，スチレンーアクリロニトリル共重合体，ポリメタクリル酸メチル射出成形品／塗料界面の構造形成

摘要

成形品表面上に塗装した際，成形品と塗膜との界面に特異な「ジグザグ構造」が生じることがある．この構造は透明塗料の場合にはヘイズ（曇り度）を変化させて塗膜を曇らせたり，着色塗料の場合には表面の平滑性を低下させるなど，成形品の意匠性を低下させる原因となるため，解決しなければならない問題である．筆者らは以前，ABS樹脂を用いて樹脂と塗料との界面構造を調べた．その結果，射出成形品の塗料と樹脂の界面において特異な「ジグザク構造」が観察されたが，プレス成形品やABSのガラス転移温度（T_g）以上での温度でアニールしたものでは観察されなかった．筆者らの以前の研究は，ABSを用いておこなわれたものであり，ABS以外の樹脂でこのような表面構造は報告されていない．本研究ではポリスチレン（PS），スチレンーアクリロニトリル共重合体（SAN）とポリメタクリル酸メチル（PMMA）の3種類の無定形高分子を用いて，このような界面構造が普遍的な現象であるかどうかを調べた．