リサイクル－高分子基礎物性研究とプラスチックリサイクル

摘要

即ち，リサイクルのような劣化と言う原因不明な事象を含んだ研究分野は他の研究機関あるいは実用的に対応できる企業·現場に任せ，大学では高分子の基礎的な研究を実施するというテリトリー分割が有形無形に出来上がっており，双方の情報交換があまりなされていない代表的な例と考えることが出来る．このように各研究機関·組織が各々の別の方向を向いていると，本来高分子の特性として注目すべき物性が基礎研究分野で見出されても，これをリサイクルの現場に結び付けることが難しくなる．筆者らは昨年来射出成形過程で排出されるプレコンシューマのリサイクルプラスチックの物性評価を行った経験から，現時点でそのことを強く意識している．本稿では数多くの基礎研究の中から，結晶性高分子のリサイクル樹脂物性に大きな影響を与えているのではないかと思われるせん断（流動）誘起結晶化（Shear（Flow）Induced Crystallization：S（F）IC）とタイモレキュール（Tie Molecules：TMs）について言及する．