微細転写成形における離型工程の物理

摘要

ナノインプリント法などの転写成形において，金型（モールド）を樹脂などの被加工材料から離型する離型工程は，転写の成否を左右する重要な工程である．図1に離型工程の模式図を示す．モールドを，樹脂から離型する際，樹脂にはモールドと樹脂面の付着による引っ張り応力や，モールドパターンの側壁で生じる摩擦により，樹脂のせん断変形に伴うせん断力が加わる．この時，樹脂内部に破壊限界を超えた応力が作用すると，樹脂は破断される．一方，樹脂と基板間の付着力が弱いと樹脂は基板から剥がれ，これらが欠陥となる．このため，モールドと樹脂間の付着や摩擦の評価とその制御は，離型工程における欠陥の抑制に重要な要素となる．ここでは，モールドを樹脂から離型するために必要なエネルギーや力について，力学的観点から実験的に検証した．