樹脂被覆紙の表面平滑性の評価

摘要

紙基材（以下基紙という）の両面にポリエチレン（PEと表すことがある）をT型ダイスから溶融押し出しコーティングして製造されるポリエチレン樹脂被覆紙（以下，RC紙という）は，写真印画紙やインクジェット材料などの画像材料用支持体として用いられている．その大きな理由はRC紙の平滑性が良好なことである．しかし，RC紙の平滑性は，基紙の平滑性，樹脂物性，溶融押出条件などの色々な要因に左右され，それらの定量的な要因は明らかでなかった．また，RC紙の表面にピットあるいは梨地と呼称される鋭い窪みが発生することがあり，これも表面の平滑性を悪くする大きな要因であった．そこで本報では，表面粗さの定量的な要因を明らかにし，またピットの発生機構を明らかにして，表面超さが小さくピットの発生が極めて少ない平面性の良好なRC紙の設計を可能にすることを目的にするものである．特に，RC紙の表面粗さとピットの形成の現象をモデル化し，種々の仮定の基に予測式を導出し，導出した式の妥当性を実験結果と予測結果の比較によって言及することを目的とするものである．