導電性とポリマー

摘要

多くの導電性高分子の中でポリアニリンは最も実用化に近い位置にある導電性高分子である．ポリアニリンは最初のポリマーバッテリーとして二次電池の正極材料に実用化された歴史を持つ．また既に現在帯電防止材料や防錆塗料として実用化され市販されている導電性高分子である．大量合成が容易であるので，実用化にとって大きなファクターであるコスト面で有利であり，空気安定性にも優れている．現在では加工性と導電性も良好となってきており，実用化に必要な条件を有している．ポリアニリンはポリチオフェンやポリピロールなどと異なり，プロトン付加によってその導電性が大きく変化する特異な性質を有している．その特異な電気化学特性と優れた空気安定性を示す使い易さから，二次電池の正極材料，エレクトロクロミック材料，各種センサー材料，帯電防止塗料，電磁波シールド材料，光記録素子，人工筋肉材料，防錆塗料，エレクトロレオロジー流体用分散剤など電気·電子·機械の幅広い分野において応用が検討されている．