ケニア西部ビクトリァ湖岸土地荒廃が進行する地域における家畜飼養の実態と植生への影響の評価: Jimo—East Sub locationの事例

摘要

エスニックグループ、ルォが居住するケニア西部ビクトリア湖岸の調査対象地域では10kmを超えるガリーが地域を縦断するなど、深刻な土地荒廃が進行している。本研究は、その 地域において、家畜飼養の実態を明らかにし、家畜飼養がガリー侵食等の土地荒廃に与える影響 の評価を行って、現状を改善するための方策を考案することを最終的な目標としている。まず、 その地域における家畜の密度と放牧の実態の調査を行い、土地荒廃を助長すると推察される植生 の劣化に対する家畜飼養の影響の評価を試みた。 【方法】2009年3月-5月、2010年1月-3月および2011年2月の計3回、調査対象とした Jimo-East Sublocationにホームステイし、人々の日常生活における家畜飼養の実態を参与観察し ながら、以下に示す調查を行った。滞在期間中にGPSとバイトカウンターを一週間/月ずつゥシ およびヒッジに取り付け、家畜の放牧範囲を追跡調査した。その際、草の地上部を刈り、乾物重 を測定してバイオマス量を試算した。また、QuickbirdのRGB画像を用いて、地域内の世帯数と 放牧利用可能地の面積を分析した。さらに、2009年5月に地域の59世帯に対して行った家畜頭 数の聞き取り調査結果を使って、地域内の家畜の全飼養頭数と一頭当たりの土地利用面積を算出 した。