ラオス平野部の丘陵上の天水田における地形条件と収量との関係

摘要

ラオス平野部では潅漑設備のない村落が多く，そこでの水稲生産は雨季の天水田に限定される．しかし，天水田での水稲生産は降雨に大きく－依存するため非常に不安定であり，また水田の立地の違いによる筆問差が大きいことが知られている．これまで水田の立地条件による生産性の変異の研究は，主に東北タイにおける平原の代表的な皿状地形，いわゆるノング地形を対象に検討されてきた．しかし，ラオス平原部の多くはメコン川やその支流沿いに位置しており，ノング地形とは明らかに異なった地形上に天水田が展開している．本研究ではラオス平野部の丘陵上天水田の収量に及ぼす地形効果を，実測収量調査と栽培に関する聞き取り，土壌の粒径組成分析をおこない検討した．調査地はラオス，ビエンチャン平野に位置する典型的な天水田農村（D正村）である．