選抜の正確度を高め、世代簡隔を狭めるゲノム利用:北海道アルバータ酪農科学技術交流協会、海外農業技術セミナー

摘要

ゲノム学（ゲノムとは遺伝子に含まれる 遺伝情報一式のこと）をテーマに取り上げ るのはこれが今日、全世界の研究開発の分 野の中で、最も大きく物事を変化させる力 を持つからである。今回は乳牛のゲノム学、 生産性の向上などについて述べる。ゲノム学で最も重要なことは、生物が持つ「遺伝子型」に基づいた形質である「表現 型」から得られるデータを取ること。ホル スタイン関係者は恵まれており、産乳量、 乳脂率、乳タンパク質率、体細胞スコア、 雌雄の体型、形質、血統についてデータが得られる。表現型から得られたデータを全 て使い、個々の乳牛の遺伝子型がどうなつ ているのかを調べる。遺伝子型と表現型との関係を調べるには、乳牛では30対ある 染色体上の、SNP (スニップ）を見る。SNP は一塩基多型のことで、この塩基の対を構 成するのはA、 T、 C、 Gで表される（図1)。 現在、ゲノム解析の方法としては、主と して2通りあり、6,000個のSNPを調べる 「6K」（Kは1,000の意味）と、5万個のSNP を調べる「50K」がある。ゲノム解析の対象 の頭数や対象形質の数が増えれば増えるほ ど、また50Kを使えば使うほど、ゲノム解 析の正確性は高まる。2009年までに4万 3，000頭がゲノム解析を受けた結果、乳量 や乳脂率、乳タンパク質率などに関する形 質のゲノムの信頼度は72%まで上がった。