乳牛による作業事故をどう防ぐ？

摘要

2008年から北海道農作業安全推進本部 の委託を受け、北海道内の酪農における農 作業事故の実態解明と事故防止対策に取り 組んできた。農作業事故全体の発生件数は 減少しており、特に農業機械による事故件 数は大きく減少している。しかし乳牛など の家畜を原因とする事故は増加しており、 発生件数全体の約30%を占めるまでになつ た。農作業事故防止を進めるためにも家畜 を原因とする事故を抑制することが重要と なっている。道内のうち酪農が盛んな十勝管内の03-07年度の事故状況について解析した情報を 基に、事故原因や事故防止について解説す る。十勝管内をはじめ、酪農が盛んな根室、 釧路、オホーツク、宗谷管内の酪農'畜産 での事故を、事故発生時の作業内容と事故 との関連を表1に示した。5年間で事故件数は3,450件で、うち搾 乳作業に関わる事故が1，129件(32.7%)、 除糞、給餌、掃除などの管理作業時が772 件(22.4%)、牛の移動時の事故が780件 (22.6%)、治療や除角作業時が201件 (5.8%)であった。