スピンダイス-スピントルク磁化反転を用いた物理乱数発生器

摘要

情報化社会が進む現代社会では、情報通信のセキュリティ、すなわち情報の暗号化は必要不可欠である。情報の暗号化には乱数が必要であり、予測不可能な乱数の需要はますます高まっている。我々は2007年以来、スピントロニクスデバイスの新しい応用として、スピントルク磁化反転を用いた物理乱数発生器の開発を行っている。乱数の質は予測不可能性と等確率性(0, 1ビットに偏りがない)で評価することができる。物理乱数は予測不可能性を自明に備えるという利点があるが、等確率性を自明に備える嘩証はない。一方、スピントルク磁化反転は巨視的な二準位遷移であり、電流を調整し、系を遷移点に持っていくことで、理想的な分岐増幅器(bifurcation amplifier)とみなすことができる。すなわち、電流によって反転確率を直接調節することができる物理乱数発生器が可能となる。