磁束集束配列型高トルク産業用モータの開発

摘要

産業用ロボットの各関節部には，サーボモータが配置され，駆動源として機能している。これらのサーボモータの特性向上は，ロボットの性能向上と密接に関係している。サーボモータの性能を表す指標として，パワーレート密度（モータの加減速性能を表す指標）がある。パワーレート密度の高いサーボモータは，高いサーボ性能を有し，ロボットの動作時間の短縮などに大きく貢献する。パワーレート密度向上の方策として，ロータ·ステータ間のギャップ磁束密度の向上がある。筆者らは，大分大学の提案する磁束集束型永久磁石配列に磁性体を付加することにより，ギャップ磁束密度の1次成分振幅を大幅に向上できることを明らかにした。また，この磁性体付き磁束集束型永久磁石配列を適用した高磁束密度モータの試作機を評価し，従来機比で約1.5倍の磁束密度と従来機比1.57倍のパワーレート密度を実現したことを確認した。今回は，この技術を用いて，モータ質量を従来機の80％以下に低減することを目標とし，モータ設計と試作機の特性評価を実施した。本稿では，その結果について報告する。