鮒田式胃壁固定具の開発一胃瘻の歴史から見た鮒田式胃壁固定具の意義一に関する研究報告

摘要

胃瘻は1822年にその安全性が確認されて以 降，さまざまな遍歴を経て，現在の低侵襲で簡 便な術式である経皮内視鏡的胃瘻造設術(Percutaneous endoscopic gastrostomy=PEG)へ と発展した.また，この発展の過程では併用さ れるさまざまな独自の医科器械が開発され，そ の普及の基盤となった.本邦では，PEGは2012年12月現在，年間 約10万症例が実施されており，またその普 及過程に平行し，術中及び術後瘻孔形成期間中 に，何らかの原因で胃壁と腹壁が離開した場合 の重篤な合併症を防止する有効な手段として. 胃瘻の本穿刺前に胃壁と腹壁を縫合固定する胃壁固定法とそれに用いられる器具も同時に発展 を遂げた.特に本邦では，鮒田式胃壁固定具 unada-style Loop Gastropexy Device;を用 いた経皮的胃壁固定法(Percutaneous Gastropexy=PG)が広く認知されPEG全施行症 例の41.1%にあたる年間約41.000症例に用い られるに至った.