シングル磁気浮上モータ方式全人工心臓の開発

摘要

現在臨床応用されている全人工心臓は心臓と同様に拍動することで送血する空気圧駆動型拍動流ポンプであり駆動装置が体外にあるため患者のQOLの面から小型な体内埋込可能なデバイスが求められる［4］。また，全人工心臓は両心の心機能を代替するため，二つのアクチュエータが必要となり，デバイスが大きくなる傾向にある。さらに体内埋め込み型の人工心臓には長寿命かつ生体適合性に優れていることが求められるため，機械的摺動部を撤廃可能な磁気浮上モータの応用が期待されている［5-7］。そこで我々は単一の磁気浮上モータを用いて二つの遠心ポンプを駆動可能な小型な磁気浮上全人工心臓の研究開発を行っている［8-11］。今回，シングル磁気浮上モータ方式全人工心臓の試作機を製作し，試作機を閉ループ水実験回路に接続したときの磁気浮上回転性能，ポンプ特性の評価及び左右流量バランス制御の動作確認をしたので報告する。