シングルホップ無線ネットワークに適したチャネル選択法のマルチホップ無線ネットワークへの拡張

摘要

シングルホップ無線ネットワークにおいて高いシステムスループットを実現するチャネル選択·送信電力制御法として，SC-ADP (Single-Channel Asynchronous Distributed Pricing)アルゴリズムが知られている．このアルゴリズムは品質の良いリンクに優先的にチャネルを割り当てるため，各リンクの伝送容量に大きな差が生じる．このためエンドツーエンドの特性が，低い伝送容量のリンクにより制約されるマルチホップ無線ネットワークでは，必ずしも高いシステムスループットが得られない．筆者らはこれまでに本アルゴリズムのマルチホップ無線ネットワークへの適用を検討している．本稿では更に各無線局が複数のチャネルを同時に使用し，システムスループットを上げるように経路選択を適応的に行う状況が検討されている．また，伝送容量の低いリンクに合わせて送信電力を下げるため，経路内の最小スループットを効用関数として用いるよう本アルゴリズムを拡張したEX-MC-ADP (Extended Multi-Channel ADP)アルゴリズムが提案されている．シミュレーションの結果，提案アルゴリズムの適用により，マルチホップ無線ネットワークはシングルホップ無線ネットワークより低い送信電力で高い周波数利用効率を実現できることが明らかにされている．