QoE志向型無線LANシステムの災害避難所を想定したQoE充足度評価

摘要

筆者らは，複数の無線システムが混在する周波数帯域において，より重要かつより多くのアプリケーションに対する要求運用品質充足に向けた，QoE（quality of experience）志向型無線システムを提案している．本提案システムはスペクトラムセンシング結果とアプリケーショントラフィックの優先度，ならびに要求QoE充足状況に基づき要求QoEが達成可能なアプリケーションとその数を予測し，これに基づきリソース割り当てを行う．本稿では提案システムの適用先の一つとして期待される大規模災害時の避難所に関するユースケース，ならびに代表的アプリケーションのQoS（quality of service）-QoE変換関数とトラフィックモデルを提示する．そして，本ユースケースを想定した性能評価を通じ，提案システムは既存無線LANと比較して，印加トラフィックの大きな動画配信の要求QoE充足率および要求QoEの充足に寄与するスループットを20％程度改善できることを示す．