プロパイオテイクスLKM512による抗炎症効果 －腸内環境コントロールを介した作用機序－

摘要

腸内細菌の代謝産物は直接的に宿主の健康に関与していると考えられ，有用代謝産物が多い腸内環境を形成することが重要である。 プロパイオテイクスの保健効果も代謝産物が決定的な役割を果たしている可能性は高いが，これまで研究はほとんどなされてこなかった。 ポリアミン（PA）は多岐にわたる生理活性を有する代謝産物である。 中でも，腸管上皮細胞からの粘液およびslgAの分泌促進作用とマクロファージに対する炎症性サイトカイン産生抑制作用は抗炎症の視点から考えると注目に憶する。 慢性炎症状態にある高齢入院患者に対してLKM512ヨーグルトの摂取試験を実施したところ，腸内菌叢が変動し，腸内PA濃度が上昇するとともに，急性期タンパク質の減少が認められた。 また，in vitro系でLKM512ヨーグルト摂取により，糞便中に抗炎症作用を示す物質が生成されていることも確認した。