SMILESサブミリ波帯オフセットカセグレンアンテナ給電系ミスアラインメントのアンテナ遠方界特性への影響の評価

摘要

現在、オゾン層破壊に関与する微量気体成分の3次元マッピングを目的とした超伝導サブミリ波リム放射サウンダ（SMILES）と呼ばれる観測装置を、宇宙航空研究開発機構（JAXA）や情報通信研究機構（NICT）などが共同で開発中である。このSMILESの観測対象となっている微量気体成分は640GHzと高周波数帯で極微弱な電磁波しか放っていないため、非常に高感度に観測しなければならない。そのためには、外部からの外乱電波を極力排除することが重要になり、それを達成すべくSMILESにはプロファイル付コルゲート導波管（BBH）が用いられている。ここで問題なのは、このBBHに進入してくる電波にずれが生じた場合、SMILESのアンテナ指向性に大きな影響が出てしまうことである。本研究では、モード整合法を用いてミスアラインメントを考慮したBBH内の伝送特性を計算した。そしてこの得られたBBH出力端の結果を用いてSMILESのアンテナを介した遠方界パターンを求めたところ、SMILESの給電系アラインメント設計仕様の設定範囲内ではBBHのミスアラインメントによる遠方界への影響はほとんどないとわかった。これにより、このアラインメント設計仕様の設定が妥当であった事が証明された。