若狭湾における基質空隙と藻場形成との関係について

摘要

藻場は多様な生物相が出現するとともに，高い生物生 産力と環境保全機能を有し，浅海生態系において重要な 場であり，水産資源の再生産の場として重要な役割 を果たしている。しかし，人間の経済活動の進展にとも なう沿岸開発によつて貴重な藻場が急速に消失.衰退している。その結果，日本の海岸線は既に48%が構造物 や施設設置で人工化され，1978年以降に6,400ha (現存面 積の3%)の藻場が消失したと考えられている。その ため，藻場の修復.創出事業が全国各地で進められてい る力,藻場の衰退した根本的な原因が未解明である 場合が多く ，必ずしも成功していないのが現状である。 このような問題に対し，水産分野では「自然調和型漁港 づくり」などを通じて，人工構造物に積極的に藻場を付加することが計画されるようになってきた。