磯焼け対策における栄養塩供給対策の限界

摘要

近年，我が国沿岸の栄養塩濃度の傾向を見ると，親潮 域では地球温暖化に伴う長期的な栄養塩濃度（特に.リ ンP)の減少傾向が指摘"され,北海道の日本海では対馬 暖流の流量増大により冬季水温が上昇することでコンブが衰退し2),栄養塩（窒素NやリンP)の低下により磯 焼けが発生したとされている3)'4)。一方.水質汚濁を防 止する様々な法整備により.全国の内湾域への栄養塩の 負荷が低下し，ノリ養殖では色落ちが問題となってい る5卜7)。このような傾向の中で，磯焼けの一因として 栄養塩不足が指摘され.その対応策として施肥が検討されている。磯焼け対策ガイドラインおには，「施肥は，無機肥料の投入.基質からの溶出，有機肥料の投入があ り，栄養塩を長期間に海水中に溶出させることは，技術 面でも法律上でも困難で，環境への影響評価など，課題 力、'残されている」と記載されている力、施肥の効果が明 確で無かったこともあり.いつ，どこで，どれ位の栄養 塩を供給すれば良いか等の具体的な方法には言及されていない。