生物多様性とは

摘要

シンポジウム「日本海西部の漁業資源をめぐる一生物多様性の保全と漁業のあり方」が'2012年11月10日に独 立法人水産大学校で開催された。このシンポジゥムでは, 国際的に注目されている日本海西部海域に焦点を合わせ て.様々な専門分野の方々の研究発表を通じて，生物多 様性の保護の理念を生かした持続的漁業管理の方策を考えることを目的に開催された。コンビ一ナ一の濱野明 教授の依頼により.筆者は，「生物多様性とは」の課題 で発表することになつた。本稿では，最初に生物多様性条約に記されている「生物多様性」の定義と目的につい て紹介するとともに，日本政府が作成した生物多様性国家戦略（2012 2030)について概説する。同時に，2010 年に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会 議（COP10)や名古屋海洋宣言，2013年に改訂された 新しい海洋基本計画.生物多様性に関する諸外国の規範 との比較，および筆者がこれまでに関係してきた種の多 様性，生態系の多様性.および海洋空間の多様性の保全 などについての活動事例を紹介する。最後にこれまでの 活動を踏まえて，今後の海洋科学の発展に有効な最先端 の科学技術について言及する。