トランスクリプトーム解析マウスケノムとマウス完全長cDNA配列とその解析から何かわかるか

摘要

2002年は,マウスゲノムのドラフト配列と,わが研究グループによるマウスcDNA　 （相補的DNA)配列が発表され(文献1),ポストゲノム時代,すなわちトランスクリプトーム時代への幕開けの1年となった(囲み参照).ゲノムとは,一倍体の遺伝子と遺伝子間配列の総和として定義される(文献2)もので,すなわち,一個体の中に含まれる遺伝情報がつまった塩基配列である. 1990年代後半にゲノム配列の解読が開始されたさまざまな生物種には,微生物ゲノム,出芽酵母( Saccharomyces cerevisiae) ,線虫( caenorhabditis elegans) ,シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana),などがあるが,現在,ほかの多くのゲノム配列決定プロジェクトも計画中,またはすでに開始されている.