不齊分子觸媒の創製と醫藥化學への展開に關する研究－日本學士院賞を受賞した柴崎正騰教授－

摘要

医薬品などの有機化合物は，炭素原子同士の共有結合を介して分子骨格を形成している．「つの炭素原子に4種頬の異なる置換基が結合しているとき．その炭素原子は不斉炭素とよばれ，置換基の結合様式によって鏡像関係にある2種類の異なる分子（エナンチオマー）を生じる．われわれの体を構築し，さまざまな機能を担っているアミノ酸や糖，あるいは脂質といった生体分子はすべて不斉炭素をもつことから．生体は「キラルな場」であると考えられる．このような場において．エナンチオマーは厳軌こl哀別される．したがって，われわれの体の中で作用を発現する医薬品は，エナンチオマ一同士でまったく輿なる薬理活性をもつことが多く（たとえば片方のエナンチオマーが薬であっても，もう片方のエナンチオマーが苛であることもありうるり，それゆえに特定のエナンチオマーのみを選択的につくり分け供給することが必須である．