さけ、ます類の病原細菌およびウイ ルスの卵を介した垂直感染防止法

摘要

さけ、ます類の孵化放流事業あるいは養殖業の基本 は、健康な親魚から受精卵を得て病原体のいない飼育 用水で卵管理をし、孵化した仔稚魚の飼育を行うこと である。そのためには、まず飼育施設.器具、機材の 衛生管理を行い、病原体フリ一の飼育用水を確保する ことが重要である。採卵には健康な親魚を用いる力5、 それが難しい場合には、受精前に卵洗浄と卵消毒を行 い孵化場内に病原体を持ち込まない、採卵場および 洗卵排水の殺菌を行う、発眼初期に卵消毒を実施する ことである。さらに孵化した仔稚魚の病原体検査を定 期的に実施し、河川水使用の飼育池への移動あるいは 放流に際しては健苗性を確認する。今後の課題として は、養殖魚を対象としたワクチンの開発あるいは耐病 系群の確立などがあげられる。魚類防疫に関しても、 魚種および病原体ごとにリスク評価を行t 重要な管 理点の抽出とその実施状況の記録が重要である。今回 は親から仔稚魚に卵を介して伝播する病気対策につt 、 て、現在までに明らかになつていることを紹介したい。