有機物の連用が水稲の生育、収量に及ぼす影響: 黒ボク土水田への25年堆肥連用でわかったこと

摘要

堆肥をはじめとする有機物の施用は、地力 の維持、増進に重要であり、土づくりとして 推奨されている。有機物を施用せずに栽培を 長い間続けていると、土壌中の有機物の分解 が進むことにより、地力の低下を招く 。水稲は吸収する窒素の約7割が地力由来であり、 地力の低下は水稲の生育に及ぼす影響が大き いと考えられる。また、近年の肥料高騰によ り、堆肥を活用した減肥が求められている。 しかしながら、堆肥を過剰に施用すると生育 への悪影響のみならず、環境への負荷も懸念 される。また、堆肥の連用による効果は、土 壌類型、気候、土地利用形態に支配されて一 様でないため、いつ、どの様に発現するか分 かりにくい。栃木県農業試験場では、県の代 表的な土壌である黒ポク土で、25年にわたる 有機物連用試験を行っているので、その結果を紹介する。なお、同時に行っている稲わら の連用試験について、堆肥と比較することで 連用の効果の違いが明確になるので、併せて 紹介する。