茶園における牛糞堆肥施用と土壌バイォマスによる地力の評価

摘要

土壌バイオマスとは、モダラ、ミミズなど 土壌小動物と、カビ、細菌など微生物を合わ せた土壌中の生体総量のことです。そのうち、小動物は5%以下で、95%以上がカビ、細菌 などの微生物であると言われています。土壌 微生物は土壌に加えられた有機物の分解者と して働く一方で、その分解過程で放出される 養分を摂取しながら増殖し、各種養分を菌体 成分として取り込みます。死滅した菌体は可 溶化し、再び別の菌体に取り込まれるカゝ、土 壌養分として作物に吸収されたりします。土 壌有機物に占める土壌バイォマスの割合は、 土壌全炭素量の1-3 %と僅かですが、微生 物のライフサイクルは極めて短いため、バイ ォマスを経由する養分量は予想以上に多く 、 普通畑作物の養分吸収量に匹敵するとも言わ れています（丸本，1991;西尾，1994)。また、 黒ポク土の茶園においては、年間300kg ha~(-1) の窒素がチヤに吸収され、そのうち150kg ha~(-1)は地力由来であつたと報告されています (烏山，1990)。