有機栽培露地野菜畑の 土壌診断に基づく窒素施肥基準

摘要

環境と調和のとれた農業の推進や安全な農 産物を求める消費者ニーズとともに、有機農 業推進法をはじめとする施策の後押しもあ り、有機栽培に関心を持つ生産者は増加して いる。一方、有機栽培は慣行栽培に比べ収量 が低い、品質にバラツキが生じやすいなどの 問題点が指摘されており、有機農業の普及、定着を図る上で解決すべき項目である。北海道における有機農業の動向を調査する 目的で実施されたアンケート調査によると、 経営形態として露地野菜を中核に畑作物や施 設野菜との組み合わせが最も多かった。また、 試験研究に対する要望として、「雑草抑制、除草技術」や「病害虫抑制技術」と並んで「土 づくり技術」が挙げられた。道内の有機栽培 露地野菜畑を対象とした土壌調査では、窒 素、リン酸、カリ含量の富化や塩基含量のア ンバランスが認められ、有機栽培畑における 施肥管理が環境に対して悪影響を及ぼすこと が懸念された。このような土壌養分富化の防 止対策としては、土壌診断に基づく施肥対応 が有効である。