6歳未満の症候性側弯症に対する装具治療と矯正にかかわる因子の検討

摘要

進行性の早期発症側弯症(Early Onset Scoliosis ：以下，EOS)は日常生活に著しい障害 を生じ得るが，有効な治療法は確立されていない.今回我々は，独自に開発した動的脊柱装具(Dynamic Spinal Brace ：以下，DSB)を用い，6歳未満の症候性側弯症患者に対する装具治療の有効性 と矯正にかかわる因子について検討した.12か月以上DSBを装着した35例（男15，女20)を対象 とした.初診時平均年齢は3.5 ±1.2歳，平均観察期間は28.3 ±10.8か月であり，疾患内訳は脳性運 動障害18例，染色体異常13例，脊髄疾患1例，その他3例であつた.経過中，治療中止例は認めず， 17人(48.6%)が側弯の増悪を認めなかつた.本研究の結果，症候性のEOSに対するDSB療法はコ ンブラィァンスが良好で側弯の予防および改善が期待できる有用な治療法であり，保存治療の選択肢となり得ると考えられた.