共振器並列型フィルタ合成による多モードフィルタ設計のための外部Q値の計算方法

摘要

共振器並列型フィルタの合成理論に基づくフィルタ設計では，共振器直結型フィルタでは必須の結合係数を用いずに，並列接続された複数の共振器の外部Q値と共振周波数の評価のみによって比較的容易に帯域内外で有極特性を実現できるという利点がある．ところが，マイクロ波フィルタ回路においてその外部Q値を評価する手法はデュアルモードフィルタに限られ，複数の共振を有する多モードフィルタに適用できる有効な手法は未だ開発されていない．そこで本稿では，従来手法の問題点を指摘するとともに，複数の共振器の外部Q値ならびに共振周波数を求める汎用的な計算方法，さらには入出力直接結合の定量的評価方法を提案する．本手法の有効性については，4モード帯域通過フィルタを例に電磁界シミュレーション結果と回路解析結果の比較により検証している．