7.柔道有段者の重心動揺特性

摘要

【背景】重心動揺検査は姿勢調整能力を客観的に評価するのに都合がよく，当事者は自己の内面からの身体情報に対する認知力（感覚的認知）を研ぎ澄ますことができる.竹内ら（2008,日本人類学会）は，一般人においては日常生活行動の，運動選手においては競技力の維持·向上を目的とするセルフコンディショニング指導時の健康教育の道具(ツール）としてポータブル型重心動揺計を用いた動的姿勢の安定性の評価を行っている.一方，長らく選択科目としての位置づけから武道（柔道·剣道）は2012年度より中学校の体育授業の必修科目の一つとなり，今まで以上に柔道という種目が期待されている.そのため，施設整備や体育教員の柔道指導力向上への早急なる取り組みが求められ始めた.【目的】本研究の目的は，柔道というスポーツ種目の特性を，重心動揺検査を通して柔道轾.験者と無段者と比較検討し，柔道を専門としない一般の学校体育指導者に，初心者の組み手や技の判断材料情報など，正しい柔道競技の指導に役立つ情報を提供することである.