回折格子の影理論：鏡像による表現

摘要

ここでは、鏡像グリーン関数を新たに導入して、実空間の積分方程式による解法を議論する。従来の、周期条件を満たすグリーン関数（57）は、Rayleigh波数において発散する。しかし、鏡像グリーン関数はそのような波数においても発散することがなく有限値をとる。その結果、Rayleigh波数に起因する解析上の困難が解決でき、さらに、散乱因子の新たな表現が得られる。すなわち、表面からの輻射とイメージ表面からの輻射の和として散乱波と散乱因子が表現できることを示す（図4参照）。以下では、TM（Transverse Magnetic）偏波の単色波のみを考え、時間因子をe~(-iωt)としている。