地すべりの調査解析評価における課題と解決（沖縄，島尻層群泥岩分布地域の地すべりを事例として）（その3）ー地すべりのブ口ック抽出と危険度評価ー

摘要

球列島では島尻変動と呼称される中新世後期から更新世初期にかけての大規模な海進によって島尻海が形成され，現在地すべりが多発している島尻層群はここに堆積した地層である（図37）。島尻層群は下位から豊見城層，与那原層，新里層からなる。豊見城層は，沖縄島南部では島の西側に断続的に露出し，中部の沖縄市では東海岸側に分布する。砂岩を多く含む比較的硬質な砂泥互層で，豊見城市の丘陵部には戦時中壕 （旧海軍壕）が造られた。与那原層は，砂岩凝灰岩を挟在する泥岩優勢層で，島の中央部から東海岸にかけて広く分布する。新里層は，与那原層とほぼ同じ岩相で南部の東海岸に分布する。多くの地すべり危険箇所は与那原層の分布とほぼ一致している。