ノード保守計画を考慮した分散ファイルシステムのファイル複製管理方式の検討

摘要

本報告では，広域ネットワークを介して接続した分散ファイルシステムにおけるファイルの複製管理方式を検討した．分散ファイルシステムは，ファイルを複数の物理ノードに複製して冗長性を確保して耐障害性を高めると共にスケールし易い点が特徴であり，商用システムへの適用が進んでいる．商用システムでは，作業員がシステム稼動計画や製品保守計画に従い分散ファイルシステムを構成する物理ノードの保守や交換を行う必要がある．しかしながら，作業員が分散ファイルシステムの特性を理解せずに物理ノードの交換等の保守作業を実施すると，ファイルの冗長度が低下し，その状況で障害が発生した場合にはファイルが滅失する恐れがある．本検討では，保守作業時のファイルの滅失や冗長度の低下を回避することを目的に，ファイルデータが格納される物理ノードの保守計画を考慮してファイルの複製場所を決定することで，ファイルの冗長度を維持可能なファイル複製管理方式を提案する．