ロールベールサイレージの細断，再貯蔵がその後の発酵品質に及ぼす影響

摘要

ロールベールサイレージの利用性を改善することを目的として，細断して気密性の優れたサイロに再貯蔵する方法を検討した。平均水分62.0%（軽予乾区）および48.9%（強予乾区）のイタリアンライグラス2香草ロールベールサイレージを切断長10cm程度に柵断してドラム缶サイロに再貯蔵した。その結果，乳酸含量は再貯蔵によって軽予乾区で乾物あたり平均1.6%から4.7%に，強予乾区で平均0.4%から2.9%に増加した。これに伴い，再貯蔵後のpHは軽予乾区で平均5.3から4.2に，強予乾区では平均5.7から4.5に低下した。この実験結果は，未細切，低密度，気密性の低さなどのロールベールサイレージの不安定な発酵環境下では乳酸発酵が抑制される場合があり，このようなロールベールサイレージを稚断し，気密性の高いサイロへ再貯蔵すると発酵環境が改善され，乳酸発酵の促進によってpHが低下することを示唆している。したがって，ロールベールサイレージの長期貯蔵時の品質劣化を防止する手段として，ロールベールサイレージの気密性の高いサイロへの細断，再貯蔵が有効であると期待できる。