植物における転写を伴わない計時機構

摘要

概日リズムは植物で最初に発見された．その後，1991年に端を発した植物の概日時計に関する分子遺伝学的な研究によって，植物の概日時計を構成する複雑な遺伝子制御ネットワークが明らかになった．さらに，2005年以降のシステムバイオ□ジー的アプ□ーチでは植物の概日リズムの制御機構を理解するために数理モデルが導入された。2011年になると転写を伴わない計時機構が再発見され，概日時計が転写制御に基づくというパラダイムに疑問符がつけられた．最近のデー夕によると転写を伴わない，「非転写時計」がすべての真核生物に共通する先祖伝来の時計であり，転写を伴う時計回路はこく最近進化したと考えられる．