創傷治癒に関わる新規分子：アンジオポエチン様増殖因子（AGF）

摘要

皮膚表皮細胞は生体を外界から隔絶するバリアの役目を果たしており，これが失われると個体は長く生存することはできない．外傷や感染などによる表皮の損傷は日常的に繰り返されているが，表皮細胞が傷害を受けると速やかに免疫機構によって感染制御や異物の除去が行われ，引き続き表皮細胞が再生される．この損傷修復横棒は頻繁に繰り返されており，個体はこの表皮の再生により外界から保護されている．表皮細胞の修復，再生に関わる増殖因子やサイトカインが複数報告されてきているが，これらの遺伝子欠損マウスにおいて，なぜか表皮再生に障害がないことが明らかとなり，表皮再生に関わる未知の因子の存在など生体における表皮再生?創傷治癒の分子機構はもっと複雑であると考えられている．