海藻という植物

摘要

本州中部から太平洋へ突出した伊豆半島の東岸では,しばしば大き蛇行した黒潮の接近（図1)~(1))により，海水温が異常に上昇して海藻が大量に枯死 する。古来テングサは伊豆地方の沿岸漁業者にとって大きな収人源になっていたため，その大量枯死は死活問題であり，これを磯焼けとよんでおそれてい たらしい~(2))。つまり磯焼けという言葉はテングサの大量枯死を意味する東伊豆の方言だったのだが，アワビやサザエの重要な餌となるアラメやカジメが 枯死する現象も磯焼けとよぶようこなり，やがて全国的にみられる海藻群落の衰退や消失をよぶ水産用語として学術的に定義されるようになった。