マダィの生物學(6)初期生活史－3

摘要

初期生活史では＜初期減耗＞をキーワードとし，初期生活期の生き残りに重要な鍵を握る語形質の形成過程と行動の変化を明らかにしようと試みている。 マダイのように小型で大量の浮性卵を産む海産硬骨魚類はきわめて未熟な姿でふ化するため，ふ化後間もない仔魚は捕食者に対して無防備であり，その生涯で最も厳しい減耗の危険にさらされる。 このような仔魚が生き残るためには，できる限り速やかに適応的諸形質を備えることが必要となる。前々回は運動器官について，前回は感覚器官についてその発達過程を述べ，運動器官と感覚器官が連動しながら適応的形質を備えていく様子をみてきた。