窒素酸化物濃度測定法の検討経過

摘要

窒素酸化物(NO_x)による環境汚染は、工場?事業場等の固定発生源や道路交通網の発展に伴う移動発生源の自動車排気ガス汚染の広がりと光化学オキシダント発生との関連性によって多くの人々が注目するところになっている。窒素(N_2)の酸化物は亜酸化窒素(N_2O)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO_2)、三酸化二窒素(N_2O_3)、四酸化二窒素(N_2O_4)、三酸化窒素(NO_3)、五酸化二窒素(N_2O_5)など各種あるが、一般に窒素酸化物(NO_x)という場合はNOとNO_2のみの総称であり、行政的にもNO_xは、NOとNO_2との和である（日本化学会，1977）。大気の中には71%の割合で窒素(N2)が含まれているので、大気中で物を燃やすとNO_xが生成する。さらに、燃料中には窒素化合物が含まれているので、その燃焼においてFuelNO_xも同時に生ずる。この燃焼でのNO_xの大部分はNOとして大気に排出されるが、大気中に存在するオゾン(O_3)と反応しNO_2に変化する。NO_2は、二酸化硫黄(SO_2)や浮遊粒子状物質(Suspended Particulate Matter， SPM)と同様に呼吸器に慢性的な障害を与え、やがて慢性気管支炎、気管支ぜん息、ぜん息性気管支炎、肺気腫などの疾患をひき起こす要因となる。特にNO_2は呼吸器の深部に達しやすいため、強い有害性が懸念される大気汚染物質の一つである。環境基準としては、人の健康影響を考慮し、NO_2濃度のみが定められている。