塩生植物や微細藻類由来の環境ストレス耐性遺伝子の探索と応用

摘要

世界人ロが急増しているにも関わらず，塩害等により可耕地は年々地球規模で減少している.国連環境計画によると，世界の砂漠面積は毎年6万平方キロメートルのスピードで広がっており，これは九州と四国とあわせた面積に匹敵する.そのため，塩や乾燥に強い植物の作出技術の開発が望まれている.一方，自然界には進化的に塩や乾燥等の環境ストレス耐性を獲得した多種多様な生物が存在する.これらの生物が進化的に獲得した耐塩性?乾燥耐性の原因遺伝子群を解明することができれば，塩?乾燥ストレスに強い植物作出に繋がると考えられた.そこで本稿では当研究室で行っている「大腸菌を用いた機能スクリーニング法」によって見出されたさまざまなタイプの遺伝子群を用い，環境ストレス耐性が強化された有用植物の作出例を紹介する.さらに，本稿では機能スクリーニング法で得られた微細藻類由来の遺伝子群を用いて，PHB生成能を有する微細藻類の生育促進に成功した例を紹介する.